陸域における水循環
人工衛星データ,国土数値情報,降水観測データ等を使って,陸域の広域的な水循環を評価しています.広域の水循環は,気象・地形・土地被覆等の多くの要因が複雑に影響し合う複雑なシステムです.本研究室では個々の水循環プロセスやそれらの相互関係を調べ,システム全体を理解します.解析対象領域は1つのダムの流域から東北を中心に全国各地,さらには東南アジアなど多種多様です.具体的には次のような研究を行っています.
1.降雨や積雪分布の評価
2.積雪量,融雪量の評価
3.蒸発散量の評価
4.地下貯水量の評価
5.流出予測
米代川流域における積雪・融雪シミュレーション(白:積雪水量,青:融雪水量,緑:水位)
生態と水環境
河川に生息する水生生物(ホタル,メダカなど)は河川の環境に強く依存します.地球温暖化に伴う気候の変化や,ダムや諸々の河川工事等の人為的な環境改変は,河川生態系に悪影響を与えているかもしれません.本研究室では,現地調査や採集された生物を用いた生物実験(DNA解析など),水動態シミュレーション,さらにはリモートセンシングなど様々な手法を活用します.その上で,河川流域における生態系と水環境(生息環境)を相互的に見つめ,その関係性を把握して将来の生物多様性を適切に保つことを主眼としています.また,メコン流域において人々の生活(農業・健康)と切り離せない栄養塩類や水系感染症について研究しています.主な研究テーマは下記の通りです.
1.水の動態をはじめとする様々な環境要因を考慮した水生生物適性度の評価
2.河川水生昆虫を対象とした生物多様性(種・遺伝子)の定量化
3.流木流出メカニズムの解明
4.メコン河の洪水と水系感染症
5.メコン氾濫水と栄養塩類
気候変動と水災害
地球温暖化および気候変動が水循環に影響を与えることにより,様々なインパクトが予想されています.豪雨に伴う洪水や土砂災害,気温上昇に伴う閉鎖性海域におけるアオコの発生など,影響は多岐にわたります.本研究室では,数値気候モデル(GCM)を用いて,気候変動が水環境および水災害に与えるインパクトを明らかにしています.具体的なトピックは以下の4つです.
1.地球温暖化と地下水
2.気候変動と斜面災害
3.気候変動と洪水リスク
4.地球温暖化と森林火災
5.内陸湖沼環境の将来評価